☆アパート営業物語 NO.11

こんにちは シモンズです!

「お父さんのマネをして庭の囲いを作ったら女房がびっくりしてましたよ」「うまいこと作れたかぁ~」やはり日曜大工の話題から雑談で盛り上げ、和んだところでアプローチ。

「そう言えば理事長のところのアパートもいま囲いを作ってますよ。まだ完成前だけどお客さんもついて満室になりましたよ」とアピール。

「この前、畑の世話をするのもえらいわ~って言ってましたけど、アパート建てたらどうですか!」「そんな大きなことようやらんわ、親父の土地だから俺が好きには出来んでなぁ~」「せっかく土地があるのに活用しない手はないですよ。理事長だって畑にしておくのも大変だからこれからはアパートに稼いでもらうわって言ってましたよ」

「理事長のところはたくさん土地があるで、何かやらんと大変だろ~」「お父さんのところも一緒でしょう。どうせやるなら早くやったほうがいいですよ!」「いろんな建設屋が勧めに来るが、アパート建てろと言っても何も分からんし、金もないでうちはできんわ」と牽制球を投げてきます。

周りの地主さんが、一人、また一人とアパートを建て始めるとセールス活動も活発になります。

興味はあるものの、聞くと攻め込まれると思い気を許しません。こちらは「お父さん」が聞かなくても、聞きたがっていると思うことをパンフレットを開いて勝手に話し、さりげなく情報の提供をします。

最初はサラッと切り上げ深追いはしません。また、雑談でお茶を濁し場を和まして本日の営業は終了。こんな営業活動がしばらく続きます。

それでは次回をお楽しみに。

☆アパート営業物語 NO.10

こんにちは シモンズです!

区画整理が進んでくると、整理組合では保留地(事業費用を捻出するため売却する土地)を分譲します。戸建て業者やマンション業者が事業用地を仕入れるため整理組合や個人の地主さんを訪問します。

しかし個人の地主さんたちはなかなか土地を手放そうとはしません。

これを商機ととらえ「リース建築業」という新しい業態が生まれてきました。「土地を売らずに有効活用」を歌い文句に、アパートや賃貸マンション、貸倉庫や貸事務所を建ててテナントに貸すという賃貸事業をおすすめする業者です。

賃貸用の建物を建て、テナントの斡旋も行う不動産業を併設しており、業者に任せれば「地主さん」から「大家さん」に早変わり。
沢山のリース建築(呼び方はいろいろある)業者ができ、各社がシノギを削ることとなりました。

このうちの一つの会社に営業マンとして入社したことが、私が長年住宅関連の仕事に従事するきっかけとなりました。

「お父さん」とは趣味の話で打ち解けてきましたし、「お祖父さん」とは苦労した昔話で気心が知れてくると、そろそろ仕事の話を切り出すタイミングです。

地域の有力者(大地主)さんは整理組合の理事長さんや理事となっており、各業者は特に力を入れて営業活動をします。

こうした有力者さんを落とす(お客さんにする)ことは後の営業が楽になります。理事長さんがあんたの所でやった(アパートを建てた)のならあんたの会社は信用できるとなるわけです。

次回はいよいよ土地活用の話を切り出します。それでは次回をお楽しみに。

☆アパート営業物語 NO.9

こんにちは シモンズです!

もはや資産価値の高い土地持ちとなった「地主さん」たちは、在来の部落内の古い家から、換地を受けた整理地の土地で気に入った場所に新しい自宅を設けることが願望となりました。

また、「お父さん」たちはなまじっか土地があるから年頃になり所帯を持つ息子たちに家を与えなければなりません。家長としての責任が肩に重くのしかかってきます。

考えてみれば、むかし二束三文だった農地は今や打出の小槌。地主さんたちは一筆売ればかなりのお金が手に入ります。また、当時は景気も良く経済も右肩上がりの世の中。区画整理が終わって精算金が入り、皆さんいくらかの現金は持っていました。

やがては自宅を建てることになりますが、これがまた立派な日本建築。入母屋造りの本普請(本建築)、まさに御殿のような家です。

当時はそれを見て、「日本建築の技術の継承はこういった地主さんたちのおかげと言えるのかなぁ~」と思ったものです。

しかしそれはもう少し先の話し。まだ大方の「地主さん」は土地を売ることに抵抗があります。税金のこともよく分からないし、周りの目を気にして様子見しています。先陣を切ってやるだけの度胸がありません。

それに前にもお話ししました、「宅地並み課税」によって固定資産税が大幅に引き上げられることになれば、サラリーマンの「お父さん」たちは自分のサラリーでは払っていけないわけで、いざという時のためにお金を使うこともできず、一歩が踏み出せないのです。

苦しい立場におかれた「お父さん」たちはどうすればいいのでしょうか。

それでは次回をお楽しみに。

☆アパート営業物語 NO.8

こんにちは シモンズです!

地権者で作る土地区画整理組合では、各地主から減歩して得た土地を分譲地として売却し土地区画整理事業の工事費を捻出します。

分譲地は戸建て業者やマンション業者、また個人が購入してだんだん住宅が建ってくるわけですが、商業施設なども誘致しますので5年もすれば結構な町が形成されてきます。しかし、そんな住宅やマンションの間にはまだまだ野菜畑や果樹園が広がっています。

都市部では人口増加に伴って住宅が不足してくるため、通勤圏内の近郊地域で土地の流動化をはかり、宅地を供給するために土地区画整理が行われたわけですが、前にも話したように地主さんにしてみれば、「親から受け継いだ土地は手放せない」と言う思いが強いわけです。

知識や経験のない土地活用(有効利用)には手を出せず、かと言って意味なく売却もできない、とりあえず畑や果樹園にしておけばまだ農地並みの税金(固定資産税)ですから負担が少なくてすみます。この畑や果樹園を「お祖父さん」や「お父さん」たちが世話をしているわけです。

しかし一家の主権者たる「ご主人」たちはやがて来る宅地並み課税(固定資産税の大幅アップ)に頭を悩ませ、また近い将来、地権者である「お祖父さん」が亡くなった時に起こる相続問題が頭をよぎります。

時代によって誕生した「地主さん」たちですが、これからこの土地をどうして守っていけばいいのか見当もつきません。

何かと頭の痛い「お父さん」です。それでは次回をお楽しみに。